アパレル・ファッション業界 WEFセミナー 第11回参加報告 「FBの未来に欠かせないエシカル精神とは-サステイナビリティ志向の思いやりと透明性-」

12月12日火曜日、ファッション業界の女性の活躍を支援するウェメンズ・エンパワメント・インファッション(WEF)主催の公開シンポジウムが都内で開催されました。

第11回目のテーマは
「FBの未来に欠かせないエシカル精神とは-サステイナビリティ志向の思いやりと透明性-」

講師には

慶応大学大学院政策・メディア研究科教授で政府SDGs推進本部円卓会議委員を務める
蟹江憲史教授。

サステイナビリティの先駆企業である米国パタゴニアの日本支社長
 辻井隆行氏

オーガニックコットン事業の草分けとしても著名な社会起業家
株式会社アバンティの渡邉千恵子社長
以上の3者をお迎えし、最後には、WEF理事の生駒芳子氏の司会で、パネルディスカッションが行われました。

それでは今回の内容を以下に少しまとめてみました。

SDGsとは

国連が提唱する SDGs(エスディージーズ)が世界的に注目されているのは
ご存知の方も多いことと思います。

SDGsとは、「持続可能な開発目標」( Sustainable Development Goals)の略称で、2015年9月国連総会で採択された、『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』による 17項目の具体的行動指針です。

2015年から2030年に向けた、新たな“持続可能な開発の指針”であり
、ダボス会議(世界経済フォーラム)でも、大きな議論を呼び話題になりました。

ファッション産業は、地球への負荷が 2 番目に大きい産業といわれています。
流行を無作為に追い、売れなかったものは廃棄する、の繰り返しは、もはや許されなくなってきました。

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時代は、ファッションに限らずあらゆる産業に対して、
「利益追求だけではなく、社会の問題を解決する、あるいは、地球や自然の保全を意識し、持続可能なビジネスを構築すること」また、「倫理的で人にやさしいビジネスであること」を求めているということでした。

ファッション・ビジネスも、サステイナビリティエシカルといった、
地球と人間にやさしい精神と行動で成果を上げなければ、人々に愛される企業、
あるいは産業になれない時代になったということが今回のシンポジウムでの大きなテーマー、ポイントとなっています。

<『Fashion Business創造する未来』現在ファッション・ビジネスに迫る大きな変容とは>

1. 人々の意識と価値観、行動の変化

2. テクノロジーの膨張(AI、AR/VR、IoT、3D印刷など)

3. ビジネスのグローバル化と巨大な新規市場の成長

4. 企業の社会的役割の増大

これらは『Fashion Business創造する未来』として挙げられている項目4つですが、そのうち4 番目の「企業の社会的役割の増大」について、特に日本では、前述の求められていることに対しての意識が非常に希薄であると言われているそうです。

これは、これまで言われてきたCSR(企業の社会的責任=Corporate Social Responsibility)の域を超えた、多方面(の国連のSDGsでは、17の領域)での企業の良心に基づく行動への要請です。

< SDGsが採択した17の行動指針とは >

1. 貧困をなくそう

2. 飢餓をゼロに

3. すべての人に保健と福祉を

4. 質の高い教育をみんなに

5. ジェンダー平等を実現しよう

6. 安全な水とトイレを世界中に

7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

8. 働きがいも経済成長も

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

10. 人や国の不平等をなくそう

11. 住み続けられるまちづくりを

12. つくる責任つかう責任

13. 気候変動に具体的な対策を

14. 海の豊かさを守ろう

15. 陸の豊かさも守ろう

16. 平和と公正をすべての人に

17. パートナーシップで目標を達成しよう

企業はこれらのうち、取り組めるものから始めることを期待されています。

ユニクロを展開する日本の先進的企業ファーストリテイリング社では、2016年から4つの目標を掲げていると聞きます。

ZARAなどで世界展開をするスペインのインディテックス社は、全項目の達成を目指しています。

世界経済フォーラムの2017年3月20日付の発表によれば、2015年時点の算定値からの進展が大きい国は、149カ国のうち、1位がスエーデン、2位がデンマーク、3位ノルウェーと北欧勢が占め、ドイツが6位に入っています。日本は18位。

SDGsの目標は、遠く、壮大です。
しかし今から始めなければ、ファッション・ビジネスの未来はないというのです。

パネルディスカッションでは
<引用:12月14日木曜日繊研新聞 >

生駒氏「エコをビジネスに取り込むのは儲からないのでは?」

蟹江氏「単純に考えれば環境に配慮することは確かにコスト高になるがリスク管理やビジネスチャンスにつながる。パリ協定とSDGsで脱・炭素とサスティナビリティーの方向性は決まった。未来目線に立てば取るべきアクションは見えて来る。」

辻井氏「パタゴニア製品を購入した理由をお客様に聞くとアメリカ本国では環境と社会に配慮しているから。という答えが上位に入る。この意識は確実に高まるはずで、早く取り組んでいた方がノウハウが蓄積され
先行者利益を得られる。」

渡邉氏「これだけモノがあふれていれば、購買によって何かの役に立つと思えるものこそが支持されるようになってきている」

最後に。感想

日本にはもともと西洋の考え方と比べて、
自然と共生する精神=「もったいない精神」が備わっていると言われています。

着物の絹、木綿は何度も染め直し繰り返し着用し、それでも古くなってしまった生地はおむつや雑巾に。そして最後は土に返していたといいます。

「物を長く大切に使う」そんな気持ちは豊か過ぎる近年では、失われつつあるのかもしれませんが、今こそ一度立ち止まり、「考える時」なのだと今回のシンポジウムを通して考えさせられました。

あれこれ始めるというよりは、自分が今できることから一つ一つはじめていこうかな。とふかふかは思っています。


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